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神経再生医療 幹細胞エクソソーム治療
梅田脳髄神経クリニック(大阪)・町田脳神経外科(東京)
脳卒中(脳出血/脳梗塞/くも膜下出血)、脳挫傷後遺症、脊髄損傷後遺症、認知症を対象とした、神経再生医療(幹細胞エクソソーム治療)を行います。

再生医療として注目されている幹細胞は、自らを複製し、必要に応じて多様な細胞タイプに分化する能力を持っている細胞で、損傷した組織や器官の修復や再生します。その幹細胞から派生するエクソソームも幹細胞と同じ情報をもっているため、それを体内に注入し、自身では再生能力のない壊れた中枢神経細胞に到達させ、壊れた神経細胞の修復、再生を促す効果を期待する治療です。すでにエクソソーム中の特定のmicroRNAが脳梗塞によってダメージを受けた脳組織の修復、さらに神経再生を促進する働きがあることが数々の研究結果として報告されています。呼吸器疾患(急性呼吸窮迫症候群やコロナ感染症)、糖尿病、眼科疾患(網膜色素変性症)、耳鼻科疾患(慢性中耳炎)などでも臨床試験も行われています。
そのためエクソソーム再生治療は、その細胞間コミュニケーション能力を応用して、中枢神経系疾患だけでなく、糖尿病、肝疾患、肺疾患、変形性関節症、脊椎疾患、皮膚疾患、眼科疾患(網膜色素変性症)、耳鼻科疾患(慢性中耳炎)といった疾病治療(臨床試験)、さらにはアンチエイジング、ED(勃起不全)、男性型脱毛、皮膚美容に広く行われています。
しかしながら、提供されているエクソソームの質、安全性、高額となる価格に施設によって、大きなバラツキがあり、医療行為とならない噴霧する治療(エアショットガン)は非医療施設でも行われています。
当施設では脳・脊髄・神経専門施設として下記の疾患に対して、静脈内投与でのエクソソーム治療を希望者に提供します(自費)。
脳梗塞では、ヒト骨髄系間葉細胞由来などのエクソソームが、神経細胞の障害を軽くしたり、血管を新たにつくったり、神経を再生させたりする効果をもつことが、実験の結果で分かっています。
A.当施設でのエクソソーム対象疾患
- 脳卒中(脳梗塞/脳出血/くも膜下出血)後遺症
- 頭部外傷(脳挫傷)後遺症
- 脊髄損傷後遺症
- 認知症
当施設では、治療希望者に良質のエクソソームを安価で提供し、学術的なデータを集積し研究成果に貢献できることを目指します。
B.当施設でのエクソソーム神経再生治療の目的と方法
エクソソームを静脈内に投与し、血流を介して損傷した脳神経細胞周囲に運ばれます。静脈内に投与したエクソソームは血流にのって損傷部位に運ばれ、作用することが実験で示されています。運ばれたエクソソームは、神経再生、軸索伸長、グリア瘢痕形成制御などの作用があり、神経機能改善を期待します。
- 注1.脳内直接投与、髄腔内投与は理論的にはより効果が期待されますが、手術的侵襲が必要で安全性に問題があります。
- 注2.より簡便な鼻腔粘膜の噴霧投与も実験的、臨床的に行われていますが、鼻腔粘膜投与においても嗅神経を介して脳内に移行するといわれています。しかしながら体内吸収率の高い鼻、口腔粘膜からその粘膜下血管内に移行して脳内に運ばれます。高価で貴重なエクゾームが噴霧で失われる可能性や嗅神経から遠い損傷部位への移行を鑑みますと、静脈内直接投与の効率が高いと考えています。

C.当施設で使用するエクソソームの質と種類
当施設で使用するエクソソームは、ヒトから採取した幹細胞を培養しこの培養液から細胞を取り除いた上澄みの部分(幹細胞上澄液)です。代表的な因子であるVEGF,HGFに関しては1000pg~/mL、エクソソームについては500億個~/mLを最低保証濃度として設定しており、安全性についても、使用する無血清培地は動物由来成分を完全に排除し、GHS※1に登録されている危険成分および化粧品原料として使用禁止とされている成分を完全に排除したものを使用し、ドナースクリーニング、品質検査項目もすべて法令に準拠した形式で行っております。他社にはない安全性と世界的にみても最高峰の製品(SCS premium :株式会社フロンティア社https://frontier-saisei.jp/)提供の、歯髄および臍帯由来のエクソソーム※2を使用します。
※1GHS:化学物質の危険・有害性を表し分類する世界共通のルール
※2
- 歯髄由来エクソソーム:ヒト乳歯や親知らずの歯髄から採取される幹細胞由来。神経系の再生能力が高く、成長因子が多く含まれるために修復能力が高い。
- 臍帯由来エクソソーム:新生児の臍帯から採取される間葉系幹細胞由来。抗炎症作用が強く、組織修復や免疫調整に優れる。
- 脂肪由来エクソソーム:最も一般的で豊富な成長因子と再生促進物質を有し、皮膚アンチエイジングで多く使用されます。
D.治療の実際
1.神経再生治療(エクソソーム治療)相談外来のご予約(電話)をお願いします。
診察(保険診療)で問診、神経学的診察、MRI検査を行い、適応をご相談します。
2.治療開始
適応の診断で、治療ご希望の場合は、投与量と投与間隔を相談の後に治療スケジュールを決定して、再度治療説明と承諾(同意書記載)の後に、治療が開始されます。
3.治療スケジュールの例
1)脳卒中後遺症、脳挫傷後遺症、脊髄損傷後遺症の場合
初期治療 6cc(歯髄4cc+胎盤2cc)~10cc(歯髄6cc+胎盤4cc)/ 週 × (1か月)
その後は効果によって4~8cc /1か月
2)認知症の場合
初期治療 4cc(歯髄4cc)/Ⅰ~2週 × 2か月
その後は効果にて4cc/ 1か月
初期治療計画はその後の症状改善度に応じて変更されます。
3)治療費用
保険適応外であるため、費用全額をご自身でのご負担となります。
神経再生医療(エクソソームの投与)にかかる費用は
30,000円(税込33.000円)/1cc (歯髄由来、胎盤由来ともに)です。
4.エクソソーム治療(静脈内投与)による副作用
エクソソームを静脈内に投与する際、注射部の痛み、出血、感染などが起こることがあります。
また投与後に発熱、嘔気嘔吐などの症状や、重篤なアレルギー反応や重篤な感染症を引き起こす事があります。
解説1 エクソソームとは
- エクソソームとは、細胞から分泌される直径100ナノメートル(1メートルの1,000万分の1の大きさ)ほどの膜に包まれた顆粒状の物質で、エンドサイトーシスと呼ばれる細胞外物質取り込み機構によりできたエンドソーム内に作られ、これが細胞外に放出されたものです。
- エクソソームの表面はその細胞の細胞膜成分から作られ、またその内部は細胞内の物質が含まれています。このため、エクソソームが作られた細胞(分泌元の細胞)と同じ情報が詰まっていると考えられ、放出されたエクソソームは周囲の細胞の間だけでなく、血液や髄液などにも浸透していき、体の中を循環していると考えられています。
- エクソソームは、他の細胞に取り込まれることでその内部にある「情報が詰まった核酸(マイクロRNAやメッセンジャーRNA)」が読み込まれ、その情報を伝達する機能をもっています。つまり、エクソソームは細胞間のコミュニケーションツールとも言われています。
- エクソソームにより伝達された情報を読み込んだ細胞自身は、その性質が変化するといわれています。これに加え、細胞外の環境を変えたり、血管を新たに作ったりすることで、細胞自身および細胞が生存する環境を変えていきます。

解説2 脂肪幹細胞治療(自己脂肪由来幹細胞治療)とエクソソーム治療との比較について
エクソソーム投与は、自身の身体か採取した脂肪細胞から幹細胞を培養した、脂肪幹細胞注入による再生医療にくらべ、腫瘍形成が軽減できる、微小血管障害を軽減できる、宿主免疫応答を軽減できる可能性があります。また、従来の細胞注入による再生医療に比べ、安価です。
解説3 エクソソームなど細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンスについて
エクソソームは細胞間コミュニケーションに重要な役割を担っており、様々な疾患への応用が期待されていますが、主に細胞から調整される点から細胞加工物と類似のリスクを有しており、交差汚染管理が不十分な場合などに敗血症など重篤な事故を引き起こす可能性があります。エクソソームを含む細胞外小胞治療およびその関連技術は急速に進歩していますが、治療ガイドラインはまだ作成されていません。今後、エビデンスに基づく適切な治療体制が整備されつつあります。日本再生医療学会からの細胞外小胞治療に対する提言をご参照ください。
再生医療等のリスク分類・法の適用除外範囲の見直しに関する提言(日本再生医療学会).pdf
解説3 エクソソームによる中枢神経再々治療に関する学術論文(抜粋)
>エクソソームの鼻腔内投与によるCNS疾患治療
Review, Intranasal administration of stem cell-derived exosomes for central nervous system diseases. Shuho Gotoh, Masahito Kawabori*, Miki Fujimura
NEURAL REGENERATION RESEARCH|Vol 19|No. 6|June 2024|1249
>Neuroprotection 脳梗塞機能回復を目指したエクソソーム治療
上野 祐司, 木島 千景, 平 健一郎, 稲葉 俊東, 宮元 伸和, 宮内 淑史, 山城 一雄, 卜部 貴夫, 服部 信孝
脳循環代謝 34(1) 72-72 2022年10月
>脳梗塞慢性期における新規治療としてのエクソソームの検討
平 健一郎, 上野 祐司, 稲葉 俊東, 木島 千景, 宮元 伸和, 山城 一雄, 卜部 貴夫, 服部 信孝
脳循環代謝 33(1) 102-102 2021年11月