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脳卒中後遺症とは?
脳卒中では脳の血管が詰まる・破れることで脳に障害が起こります。脳の血管が詰まると「脳梗塞」、脳の細い血管が破れる「脳出血」、脳の太い血管にできた動脈瘤が避ける「クモ膜下出血」と3種類に分類されている病気の総称です。
脳卒中後遺症とは、脳卒中によって血液が行きわたらなくなった脳組織が壊死を起こして何らかの障害が残ることです。身体の片麻痺などの運動障害や上手く喋れなくなる構音障害、物を飲み込みにくくなる嚥下障害などが起こる可能性があります。
脳卒中後遺症の症状
- 上手く話ができない
- 話が理解できない
- 言葉が思い出せない
- 身体の左右どちらかが動かせない
- 意思とは別に身体が動いてしまう
- 身体のバランスが取れない
- 感覚が鈍い、痺れる
- 視野が狭い
- 視力低下
- 尿意を感じにくい、頻尿
- 物を上手く呑み込めない
- 憂鬱な気分になる
など
脳卒中では、後遺症として神経障害・感情障害・高次脳機能障害の症状が現れることがあります。病気が起こった部位によって現れる症状は異なりますが、日常生活に支障を来たすものが多く挙げられます。
脳卒中後遺症の主な原因
脳の血管が詰まったり破れたりして血管が障害されると「脳虚血」という状態となり、脳細胞に酸素やエネルギーを供給できなくなるため損傷・壊死してしまいます。1度壊死した脳細胞は回復しないため、脳卒中が起きた部位によって後遺症が残ります。
脳のどの部位・どの血管に障害が起きたかにより、後遺症の症状は異なります。
・前頭葉の障害…感情制御・思考力・発語・身体運動
・頭頂葉の障害…感覚
・後頭葉の障害…言語理解・物を見る
・側頭葉の障害…話を聞く
・小脳の障害…身体のバランスをとる
以上のように、脳が障害された部位によって症状が異なります。
また、障害された血管によっても違いがあります。
・前大脳動脈…下肢の運動麻痺や無動性無言症
・中大動脈脈…顔面や上肢の強い運動麻痺、左側の障害では失語症
・後大脳動脈…障害と反対側の半盲・感覚麻痺、障害と同部位の四肢麻痺・顔面麻痺、記憶障害
・椎骨動脈…小脳性失調(ふらつき、ろれつが回らない、吐き気)顔面や反対側の身体感覚障害
・眼動脈…失明、一過性黒内障(突然片目が見えなくなって回復する、重症脳梗塞の前兆)
脳卒中後遺症の検査方法
障害された部位を調べる検査
CT、MRI、MRA、SPECT、PET、脳血管造影、超音波検査などで、障害された脳血管の部位と範囲を調べます。
後遺症の影響を評価する検査
脳卒中後遺症では、症状の種類やその程度を評価して、効果的なリハビリが行えるようにします。脳卒中の評価において主要なものとされている項目をご紹介します。
SIAS(サイアス)
脳卒中により引き起こされる身体機能への影響を評価します。
・麻痺側運動機能
・非麻痺側機能
・関節可動域
・体幹機能
・筋緊張
・感覚機能
・視空間認知
・言語機能
・疼痛
など
後遺症の症状の進行や、経過を見据えた将来の予測、リハビリを実施した際の成果を評価するのに大切です。
FMA(Fugl-Meyer assessment)
多岐に渡る機能を総合的に評価します。
・上肢・下肢の運動機能
・関節可動域
・感覚
・バランス能力
・疼痛
など
脳卒中後遺症の治療方法
自分で行うトレーニングを含めたリハビリによる機能の改善・維持・低下予防に加え、症状を緩和するために対症療法が行われます。
リハビリ
麻痺が残った場合、筋肉や関節が動くようにリハビリを行います。麻痺が発症してから約半年ほどで改善がストップして現状維持の状態になると言われていましたが、現在は電気刺激や手術、注射などでそれ以降の改善も期待できるようになりました。
新しい治療方法が登場しても、大切なのは日常生活で行える毎日少しずつのリハビリです。
内服治療
緊張している筋肉を緩める働きのある薬を内服することがあります。
また、疼痛や麻痺側の筋緊張の痛み、関節の痛みなどがある場合、原因に応じて痛み止めを内服します。
その他の治療
・筋緊張を起こしている神経の働きを抑えるボツリヌストキシンを注射するボツリヌス療法
・筋緊張させている神経の切断や神経の太さを縮める手術
・体内にカテーテルを入れて脊髄周辺に薬を直接投与するバクロフェン髄注療法
など
症状に合わせてリハビリと組み合わせて治療を行うことがあります。