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糖尿病性神経障害・アルコール性末梢神経障害について
糖尿病性神経障害とは?
糖尿病によって高血糖となることで、主に手足などの末梢神経が障害される病気です。網膜症、腎症と並んで糖尿病の三大合併症とも言われています。
痛みを感じにくくなるため、傷に気がつかずに悪化して潰瘍になってしまう可能性があります。合併する糖尿病による動脈閉そくが進行し、細菌感染を起こして組織が壊疽すると四肢を切断しなければいけなくなってしまうため重症化すると非常に危険です。
アルコール性末梢神経障害とは?
長期にわたる多量のアルコール摂取によって末梢神経が障害される病気です。「脚気」として昔から知られている状態であり、両手足の痺れや深部感覚の低下にて歩行時のふらつきなどが起こります。
アルコールそのものが神経障害を起こすのではなく、アルコールの大量摂取が原因で起こるビタミンB1欠乏症となることが原因です。
糖尿病性・アルコール性末梢神経障害の症状
・手足が痺れる
・両脚の末梢に痺れや違和感がある
・手足の感覚が鈍くなる
・歩きにくい、歩けない
・手足に傷ができても気がつかない
など
アルコール性末梢神経障害では手足(特に足)の痺れや冷感を感じる方が多いようです。
左右対称に症状が起こったり、安静時や夜間に起こりやすい場合は神経障害の可能性があります。
糖尿病性・アルコール性末梢神経障害の主な原因
糖尿病性末梢神経障害の原因
- 糖尿病によって血糖値が高くなると、ソルビトールというブドウ糖の代謝物が神経細胞に蓄積し、障害されるため
- 血糖値が高くなると動脈硬化が起こって血管の内腔が狭くなって血流が悪くなるため神経に十分な量の栄養が届かなくなるため
と考えられています。
複数の神経が同時に障害されると「多発神経障害」、1本の神経のみの損傷では「単神経障害」と呼ばれます。多発神経障害の方が多く見られ、感覚神経障害と自律神経障害が合併したような症状が起こります。
アルコール性末梢神経障害の原因
- アルコール(エタノール)が直接神経を障害するため
- アルコールの代謝によってビタミンB1が欠乏するため
と考えられており、飲酒量が多いためか圧倒的に男性に多いとされています。
筋力の低下はあまり起こらず、手足の温度の感覚が鈍くなったり、痛みが現れたりします。
糖尿病性・アルコール性末梢神経障害の検査方法
末梢神経電導検査
手足の痺れが末梢神経の電気生理学的な異常を生じているかを診断します
アキレス腱反射
低下または消失している場合、糖尿病性神経障害などの末梢神経障害が疑われます。
振動覚検査
脊髄の病気や末梢神経障害があると、手足の深部覚(振動の感じ方)が低下します。
呼吸心拍変動係数
呼吸を司る自律神経が障害されているかどうか調べます。
血液検査
糖尿病の可能性(血糖値)や、ビタミンB1、葉酸など、神経に影響するビタミンが欠乏しているかどうかを調べます。
肝機能や腎機能などの内臓機能も調べることがあります。
糖尿病性・アルコール性末梢神経障害の治療方法
糖尿病性神経障害も、アルコール性末梢神経障害も、何よりも大切なのは障害の原因となってる生活習慣病の改善です。
生活習慣の改善
血糖コントロールや禁酒、栄養バランスがとれた食事は非常に大切です。
血糖コントロール不良や飲酒再開で症状は悪化します。必要に応じてビタミンB1などの栄養素を補充します。食事療法が上手くいかない場合は、薬物療法を行っても満足いく効果を得られません。
適度な運動や禁煙など健康的な生活習慣を心がけ提示するようにしましょう。
薬物療法
糖尿病性神経障害の場合、アルドース還元酵素阻害薬を用いて神経にたまるソルビトールの産生を抑制します。そのほか、自律神経障害による下痢や便秘などに対処するための整腸剤、知覚神経で起こる痛みを緩和するための神経原性疼痛に対する薬剤が使われます。
アルコール性末梢神経障害の場合、ビタミンB1や葉酸の補充や痛み・痺れに対する鎮痛薬、抗痙攣薬、抗うつ薬などを投与します。
どちらの病気でも、薬物療法を行う場合は一人ひとりの症状に合わせて薬の種類や量を調整します。しかし、薬物療法を行う前に、血糖コントロールや禁酒などの生活習慣の改善を行うことが前提です。