- HOME>
- 脳腫瘍
脳腫瘍とは?
脳腫瘍とは、頭蓋内に発生する腫瘍の総称です。脳腫瘍は、脳内から発生するものもあれば、)、脳血管、脳を覆う硬膜、頭蓋骨など様々部位から発生します。それらの頭蓋内の組織から発生する「原発性脳腫瘍」の他、他の臓器に発生した腫瘍(癌、肉腫)が頭蓋内に転移して発生する「転移性脳腫瘍」があります。割合としては転移性脳腫瘍が多くを占めています。また、原発性脳腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍があり、性別、年齢によっても発生しやすい腫瘍が異なります。
脳腫瘍の症状
脳腫瘍の症状は、腫瘍の部位や大きさ、腫瘍の性質(良性・悪性)などによって様々ですが、大きく分けて、腫瘍の存在する部位によって現れる局所症状と、腫瘍の拡大によって生じる頭蓋内圧亢進症状(ずがいないあつこうしんしょうじょう)があります。
局所症状
大脳半球(右脳もしくは左脳)に腫瘍が生じた場合、腫瘍の周囲の脳が刺激されて、てんかん発作を生じたり、腫瘍が生じた部位と反対側に麻痺や感覚異常、視野障害などが現れます。また、失語症(言語障害)や平衡障害、めまい、嘔吐などを呈する場合もあります。さらに、下垂体に腫瘍が生じた場合は、視神経を圧迫して視障害を生じたり、腫瘍から異常に高いホルモンが分泌されたり、正常下垂体ホルモンの産生が障害されたりしての、内分泌異常を生じることもあります。内分泌異常には、月経が止まって乳汁が分泌される無月経乳汁分泌症候群、手足の末端が異常に発達する先端巨大症や、尿が異常に排出される尿崩症、正常ホルモンが分泌低下する下垂体機能不全などがあります。
■主な局所症状
・片麻痺(身体の左右一方に生じる麻痺)
・感覚異常
・視野障害
・失語症(言語障害)
・平衡障害(平衡感覚の障害)
・めまい
・吐き気、嘔吐
・内分泌異常(ホルモン過剰産生や下垂体機能不全)
など
頭蓋内圧亢進症状
腫瘍が頭蓋内で拡大・増大することにより、周囲の脳組織が圧迫されて生じる症状です。良性脳腫瘍の場合はゆっくりと長い時間をかけて大きくなるので、症状はなかなかでませんが、悪性のものは早い経過で増大し、比較的急に症状が悪化することが特徴です。代表的な症状としては、頭痛や持続する吐き気、嘔吐がありますが、頭蓋内圧亢進が長く続くと視力の低下、視野狭窄を生じることもあります。ことが特徴です。代表的な症状としては、頭痛や持続する吐き気、嘔吐がありますが、進行することで視力の低下、視野狭窄を生じることもあります。
■主な頭蓋内圧亢進症状
・頭痛
・吐き気、嘔吐
・視力低下、視野狭窄
など
※時間経過と共に悪化する傾向にあります
脳腫瘍の主な原因
脳腫瘍に限らず、腫瘍の主な発生要因は遺伝子の変異とされています。遺伝子の変異とは、身体を作るタンパク質の設計図であるDNAに傷がついた状態を指します。何らかの原因でDNAが傷つくことによって、本来とは異なる異常なタンパク質が産生され、腫瘍として形成されます。
異常遺伝子が遺伝することで生じる脳腫瘍は一部の稀な腫瘍だけです。
遺伝子の変異が腫瘍を形成することは確かですが、それ以上のことは現時点でも明確には解明されていません。しかし、遺伝子変異を助長するものとしては、喫煙、過剰な高タンパク食、高脂肪食、ストレスなどがあります。
脳腫瘍の検査方法
脳腫瘍の検査には以下のものなどがあり、これらを用いることで腫瘍の部位や大きさを判定します。
MRI検査
磁気を使用して頭蓋内を描写します。
CT検査
X線を用いて頭蓋内を描写します。
脳血管造影検査(アンギオグラフィ)
手術などの積極的治療を行う際に、血管内に造影剤を流して脳腫瘍を栄養する脳血管を同定したり、腫瘍に巻き込まれた正常脳血管の様子を評価します。
脳腫瘍の治療方法
脳腫瘍の治療方法は大きく手術(腫瘍摘出術)、放射線療法、化学療法の3つとなります。
腫瘍摘出術
悪性脳腫瘍が疑われる場合や、症状のある良性腫瘍の多くのは、開窓を行って腫瘍摘出術を行います。脳実質から発生する神経膠腫は、正常脳との境界が曖昧であるため、全摘出が困難な場合も多いですが、脳実質外と呼ばれる部位の腫瘍に多い良性腫瘍の多くはで、脳と腫瘍の境目が明瞭であるため全摘出できる場合が多くなります。
定位放射線療法
腫瘍のみに集中した放射線を照射することで、腫瘍組織を壊死させる治療方法です。腫瘍の部位や組織型によって照射線量、治療回数が異なります。悪性脳腫瘍には広い範囲で照射する従来の放射線治療を行います。
化学療法
悪性脳腫瘍には摘出標本での組織診断後、正常脳に入り込んだ腫瘍細胞を治療する目的で、腫瘍の組織や遺伝子型に応じた薬剤を用いる治療方法です。